離婚・男女問題 ~不貞行為や離婚の慰謝料と財産分与、子供の親権者の指定、養育費、面会交流について
離婚原因にもいろいろあるが、比較的多いのが性格の不一致と不貞行為であろう。不貞行為とは、いわゆる不倫であり、厳密には男女間の性交渉をいうが、広い意味では、そこにいたるまでの性的関係も含めて考えるべきであろう。不貞行為の態様、期間、回数などにもよるが、一般的な慰謝料額は200万円程度と考えられる。不貞行為が原因となって離婚にいたれば、婚姻期間にもよるが、一般的な離婚慰謝料は、100万円程度加算されて300万円程度と考えられる。では、同性間の性的関係が原因となる場合はどうであろうか。男女間の性交渉と同視はできないが、当事者の受け止め方によってはそれ相当の金額になるものと考えられる。また、離婚に際しては、慰謝料のほか夫婦共有財産の清算としての財産分与もあるが、現在では2分の1ルールが確立されており、よほど特別な事情でもない限り、半分ずつとされている。
交通事故 ~やってもやられても得にならない交通事故
これまで数多くの交通事故訴訟を手掛けてきた。また、交通事故紛争処理センターの嘱託弁護士も6年担当してきた。その中で思うことは、交通事故の損害賠償額は、いわゆる「青い本」や「赤い本」によって、ほとんど定型化された損害項目の損害額の積算をもとに、これも細かく類型化された過失相殺と、判例がほぼ確立している損益相殺をして算出されることから、あまり新味のないものとなっており、1年目の弁護士でも十分対応できる分野となっている。また、自動車の任意保険契約には弁護士費用特約がついているものが増えたことから、被害者は保険代理店などの紹介する弁護士やポータルサイトに名前の出ている弁護士に流れやすくなっており、当事務所にも一昔前までは交通事故の損害賠償の依頼はよくあったが、現在はめっきりなくなってしまった。しかし、過去、後遺障害1級の事件を3件扱った経験からつくづく思うことは、後遺障害1級の症状固定後の生活支援をどのようにしていけばいいかということである。親とすれば子供の面倒を一生涯みることはできず、自分が先に死んだときに残された子供はどうすればいいかと心配になるからである。この点については、保険会社の基金で日本全国に10数か所施設を作り、損害賠償金を信託ないし寄託することで一生涯面倒を見てもれえるようにすればいいのではないかと考えている。実行はかなり難しいが、やってやれないことはないと思っている。いつ自分が交通事故の被害者になるかわからないことを考えると、安閑とはしていられないものである。
相続問題 ~親や親族の死亡で一度は経験する相続を争族にしないための予備知識
遺産分割手続とは、相続開始時に存在し、遺産分割時点でも存在する積極財産を相続分に応じて分配する手続であるから、消極財産すなわち相続債務は対象とならない。相続債務については、相続人の相続分に応じて当然に分割承継されるからである。つぎに、遺産分割においては、それを解決しない限り遺産分割手続きを進めることができない前提問題と、それが解決されなくても手続きを進めるうえで何ら差し支えない付随問題がある。前提問題としては、①相続人の範囲(誰が相続人か)、②遺言書の効力または解釈、③遺産分割協議があればその効力、④遺産の帰属(何が遺産か)などがあり、付随問題としては、①相続人による使途不明金の支出、②葬儀費用、遺産管理費用の清算、③相続開始後の賃料、配当金等の分配、④相続債務の整理・分担、⑤被相続人との共有不動産の相続人固有の持分の扱い、⑥遺言の執行、⑦同族会社の経営権、⑧残った親の扶養・介護、⑨遺産土地の境界・通行、⑩被相続人・相続人間の金銭貸借、⑪祭祀承継などがある。
さらに、被相続人からの生前贈与や遺言による遺贈などがあれば特別受益となることがあり、被相続人の家業従事、扶養、金銭出資、療養看護があれば寄与分となることがあるが、特別受益・寄与分が問題となる場合は、その価額を評価する基準時は相続開始時となり、遺産を現実に分割する際の評価基準時である遺産分割時とは異なることになり、遺産分割時と相続開始時の2時点の評価が必要になってくる。そして、相続開始時の遺産の評価額に特別受益の評価額を加え、寄与分の価額を差し引いてみなし相続財産額を算出し、これを法定相続分で除した上、特別受益のある相続人については特別受益分を引き、寄与のある相続人については寄与分を足し、具体的相続分額と具体的相続分率を算出して、分割時の遺産総額に具体的相続分率を乗じて各相続人の遺産分割取得分額を出すことになる。
そして、実際の遺産分割に当たっては、まず現物分割の可否を検討し、それが相当でない場合には代償分割を検討することになるが、代償分割もできない場合には換価分割を選択することになり、共有分割は、当事者全員が共有に合意している等特別な事情がある場合の最後の選択肢となるものである。
このように遺産分割を理論的に説明することはできますが、実際の実務においては、相続人の感情がからむことから、なかなか思うように進まないのが実情です。
さらに、被相続人からの生前贈与や遺言による遺贈などがあれば特別受益となることがあり、被相続人の家業従事、扶養、金銭出資、療養看護があれば寄与分となることがあるが、特別受益・寄与分が問題となる場合は、その価額を評価する基準時は相続開始時となり、遺産を現実に分割する際の評価基準時である遺産分割時とは異なることになり、遺産分割時と相続開始時の2時点の評価が必要になってくる。そして、相続開始時の遺産の評価額に特別受益の評価額を加え、寄与分の価額を差し引いてみなし相続財産額を算出し、これを法定相続分で除した上、特別受益のある相続人については特別受益分を引き、寄与のある相続人については寄与分を足し、具体的相続分額と具体的相続分率を算出して、分割時の遺産総額に具体的相続分率を乗じて各相続人の遺産分割取得分額を出すことになる。
そして、実際の遺産分割に当たっては、まず現物分割の可否を検討し、それが相当でない場合には代償分割を検討することになるが、代償分割もできない場合には換価分割を選択することになり、共有分割は、当事者全員が共有に合意している等特別な事情がある場合の最後の選択肢となるものである。
このように遺産分割を理論的に説明することはできますが、実際の実務においては、相続人の感情がからむことから、なかなか思うように進まないのが実情です。
労働問題 ~あなたの会社の就業規則はどうなっていますか?
2018(平成30)年4月で施行後5年となることから、改正後の労働契約法18条への対応が必要となってくる。すなわち、有期契約を更新して通算5年働いた契約社員などが申し込んだ場合、無期契約に転換しなければならなくなるからである。現在、厚生労働省のセミナーは中小企業の経営者で大盛況のようであるが、既存の有期契約社員向けの就業規則があるならば、労働契約法18条は無期転換者を正社員とすべてにおいて同等に扱うことまでは求めていないことから、契約期間を無期とする以外、労働時間・賃金・勤務場所は現状のままとすることは可能であり、転換申し出の手続と転換後の定年の規定を付け加えておけば当面は間に合うことになる。この点だけからみても、就業規則の意義がわかるが、これから起業しようとする人にとっては、社員の業務態様に応じた就業規則の整備は不可欠となってくるものである。もう一つの問題が、「同一労働同一賃金」の問題である。政府は、ガイドライン案を公表し、基本給や各種手当、福利厚生、教育訓練の一定の格差を容認した上で、必要な法改正を考えているようであるが、現行の実務においては、無限定正社員の職能給を基本とした賃金制度であるから、すぐにはなじみにくい面があり、今後は、職務、勤務地、労働時間などを限定した正社員をも前提として、資格、経験、技術の要否や責任の重大性など、より客観的でわかりやすい人事考課基準を作り込んでいくことが重要な課題になってくるものと考えられる。なお、労働契約法20条との関係で、定年後の継続雇用者の賃金の格差の合理性が最近の裁判例において取り上げられているが、各種手当を含めた賃金の格差が合理的なものかどうかについて、できるだけ理論的な説明が必要になってくる。しかし、65歳までの雇用継続は、年金受給年齢の繰り下げを原因としていることから、多分に政策的な問題も含んでおり、どこまでを均等にすべきか難しい問題である。
債権回収 ~裁判で勝っても回収できなければ意味がない。
現在、民事執行法の改正が議論されており、その中に債務者の財産開示制度の充実がある。債務者本人からの情報収集には限界があることから、第三者からの情報収集に関心が集まっている。とりわけ、金融機関等の預貯金口座が重要であり、どのような条件で開示を強制していくかが問題となっている。とはいえ、法整備に先立って、一部の金融機関においては、債権者が債務名義を取得しており、弁護士法にもとづく照会手続をすることを条件に、債務者の預金口座の開示が行われているようである。法治国家である以上、裁判の執行が確保されなければ治安が維持できなくなることから、当然と言えば当然のことである。しかし、緊喫の問題は、養育費の不払い問題であり、かなりの割合で支払いが滞っているのが現状であるから、まずは家事事件手続法を改正して、勤務先からの給料天引きの制度を導入すべきであるが、民事執行法の改正においても、養育費の調停や審判がある場合は、家庭裁判所において債務者の預金口座を照会できる制度を新設するべきである。そうしないと、母子家庭などの窮状が改善されず、将来の日本を担っていくべき子供の教育の機会や人・物とのつながりが失われ、孤立化により社会不適応から、施設や病院、警察などの余分な社会的経費が必要になってくることになる。社会保障費との兼ね合いもあるが、高校までの授業料無償化は考えるべきであろう。
企業法務 ~あなたの会社のコンプライアンスは大丈夫ですか?
平成29年2月9日、金田法相が法制審議会に会社法の改正を諮問した。その内容は、昨年の1月から商事法務研究会の「会社法研究会」(座長神田秀樹)で議論されてきたものであり、株主提案権の制限、総会招集通知資料のネットでの提供、社外取締役の義務付け、業績連動型の役員報酬、社債管理者の導入などである。役員責任の会社補償とD&O保険契約の締結については、会社法の解釈でまかなうことができるとされたのか、諮問内容には含まれていないようである。しかし、これらは上場会社である大企業にとっては関心があるが、日本の株式会社の9割以上の中小企業にとってはあまり関係のないことかもしれない。というのも、日本の会社法制には、上場会社法と同族的閉鎖会社法といった区分はなく、同族的閉鎖的な有限会社も株式会社に取り込んだ形になっているからである。したがって、会社法の中での内部機構についての選択肢は多岐にわたり、中小企業にとってはかえって使い勝手の悪いものになっており、なにかの標準型に当てはめられたほうがやりやすいのではないかと思われる。とはいえ、中小企業にとっても会社法は重要な法のルールであるから無視することはできない。会社法以外にも独占禁止法のカルテル、談合、優越的地位の濫用や下請法の支払遅延、法人税法の損金算入など中小企業にとっても重要な法のルールはあり、当事務所では、会社法等に関する講演や株主総会の指導も受け付けていますのでお気軽にご相談ください。
企業再生 ~あなたの会社の資金が不足してきたらどうしますか?
企業の経営が行き詰まった時、一昔前は、債権者と任意に話し合って方針を決めていく任意整理と、法律にもとづいて裁判所の関与の下に方針を決めていく法的整理としての和議、会社更生、破産であったが、その後、任意整理については、金融機関を対象とした私的整理ガイドラインが用意され、法的整理については、和議が廃止されてからは民事再生が主流となった。しかし、現在は、私的整理がかなり準則的なものに整備されて、企業の規模や資金繰りの程度にもよるが、事業再生ADR、地域経済活性化支援機構、中小企業再生支援協議会など金融機関を取り込むものとなっており、また、特定調停もより利用しやすいものになっている。企業とすれば選択肢は増えているが、資金的にどうしようもない段階にいたってしまえば、いずれにしても破産しかないことになる。したがって、資金繰りが思わしくなくなったできるだけ早い段階で、金融機関か専門家に相談して手を打てば、企業の再生も十分可能性があるし、経営者個人も、経営者保証ガイドラインを金融機関に適用することによって、華美でない程度の自宅は残すことができるようになった。問題は経営者の危機意識と、それを行動に移す勇気である。
著作権 ~あなたのコピペでクリックは著作権侵害になっていませんか?
インターネットやSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)などデジタル技術の急速な発達による社会の変化は、第4次産業革命とも言われていますが、われわれを取り巻く環境の変化にどこまで法制度が適応できているか見直しが必要となっています。その1つが著作権法であり、普通の生活をしている人のちょっとした何気ない行為が著作権法に違反する事態を招いてしまうかもしれません。著作権法で保護される「著作物」は、人の活動において思想・感情を創作的に表現したものとされていますが、これがだれにでもすぐにわかるものではなく、他の人から著作権法違反を指摘されて初めてわかることのほうが多いのではないでしょうか。このような事態を防ぐために、日本の著作権法にも私的使用や引用など一定の条件を満たせば著作権にもとづく権利を制限できる個別的な規定がありますが、アメリカの著作権にあるような一般的な制限規定である「フェアユース」の規定はありません。「フェアユース」とは、一言でいえば批評・解説・研究等を目的とする公正な使用は著作権の侵害にならないとするものですが、このような規定がないためにどのような行為であれば著作権に違反しないかがわかりにくいものになっています。日本の著作権法の個別的な権利制限規定をみながら、将来の著作権のありかたを考えることは意味のあることだと思われます。