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可否同数の場合の議長の一般票と決定票

会議体において、議長は、議事における公平性と中立性を要求されるが、議決に際してはどのような投票行為ができるのであろうか。会議体の構成員として、1票の一般票を行使できるのか、その場合、議決が可否同数となれば、重ねて決定票を行使できるのか、あるいは、決定票のみを行使できるだけなのか、という問題である。

 この点、「日本の公的機関では、議長は一般票を有せず(または有しても行使せず)、決定票のみを有する。明治憲法下の帝国議会以来議長や委員長は一般票を行使しない慣行である。地方自治法には、議長は一般票を有せず、タイのときに決定票を有する趣旨が明定されている(116条)。最近の例では、参議院本会議において政治資金規正法(昭51・1・1施行)の法案審議の時、自民党と野党連合が対立し、戦後の国会ではじめての可否同数(117対117)となった。河野謙三(元自民)議長が「議長は可と決定します。」と断を下して原案が可決になった。」(早川武夫 会議法の常識 80頁 商事法務研究会 昭和60年3月初版)とされている。少し古い文献ではあるが、議長としての立場を考えると、きわめて妥当であると考えられる。議事の段階では中立であったものが、議決になると一変して、どちらか一方につくというのでは、いかにも違和感をぬぐえないからである。念のため、地方自治法116条を確認してみると、「この法律に特別の定がある場合を除く外、普通地方公共団体の議会の議事は、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。②前項の場合においては、議長は、議員として議決に加わる権利を有しない。」とされており、疑義が生じないような規定になっている。

 それでは、株式会社の取締役会の議長の場合はどうであろうか。迅速な決定が要求される取締役会の性格、あるいは、会議体の通常の法則の認める処理である等の理由で、2票を認める見解もあるようであるが、一度取締役として議決権を行使した議長が再度裁決権を行使することにより決議を成立させるのは、法定決議要件の緩和にほかならず、認められない(大阪地判昭和28・6・19下民4巻6号886頁、昭和34・4・21民事甲第772号民事局長回答)。」(江頭憲次郎 株式会社法 第2版 384頁注(14) ちなみに、最新版においても同様の記載がある)とされている。

 「結論的にいえば、議長は固有票を決定票として、行き詰まりタイのときに限って投じ得る、とするのが最も妥当である。その旨の明文の規定を設けるか、少なくとも投票前に明示的にそう合意すれば、紛争ーときに国際的なーを予防することができよう。」(早川 前掲書82頁)とされており、まことに妥当な見解である。

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