安倍政権の成長戦略に合わせるかたちでコーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コードが採択され、伊藤レポートでROE8パーセントが打ち出された。攻めのガバナンスで稼げということである。株式の持ち合いは解消されることになり、経営執行部により権限を委譲して迅速な経営判断をを求めることになる。経営執行部の責任は重くなるが、短期的な数字による成果だけでなく、中長期的な経営戦略に照らして監督および評価をしていかなければならなくなる。その際の会社の機関設計はどのようなものでもよく、その会社に見合ったものであることが説明できればいいことになる。問題は中味の運用であり、できるだけ透明化していくように心掛けなければならない。
言うまでもなく株主資本は他人資本であり、借入金のよう返済義務はないが、株主資本コストとしての配当が必要となってくる。株主の関心は配当とともに株価であり、一時期、株主価値の最大化が叫ばれた所以である。必要以上の内部留保がある場合は、配当、自社株買い、設備投資を考えなければならない。しかし、市場環境は非常に厳しいことから、中長期的な経営戦略をこそ取締役会で時間をかけて議論していかなければならない。コーポレートガバナンス経営にとって取締役会の活性化は急務である。