一昔前と違って弁護士の人数が増えたことから、弁護士のほうから積極的に依頼者を誘引していかなければならない時代になっている。そこで弁護士も法律の知識だけでなく、マーケティングを勉強しなければならない。売れて儲かるロングセラーを生み出す名人である梅澤伸嘉氏によれば、ロングセラーを生むための3つの条件は、①買う前に欲しいと思わせる「商品コンセプト」と、もう一度買いたいと思わせる「商品パフォーマンス」が両立している商品は長く売れ続ける、②「強いニーズがあること」と「そのニーズを充たす手段がないこと」、この2つを充たす「強くて、未充足のニーズ」に商品が応えたとき、消費者は無条件でその商品を「欲しい」と思う、③新しい市場を創造した商品は、後発商品の100倍の確率で成功する、とのことである。
この3つの条件を弁護士のマーケティングにおいて考えると、①相談してみたいと思わせる「わかりやすい専門性」と、依頼したいと思わせる「信頼性と納得」の両立、②相談したい問題がある時に、ちょっと相談してみようと思わせる案内窓口、③これまで議論されてきたことだけではなく、こういう新しい問題が起こったらどのように解決するか、あるいは、誰もが避けている問題をどう考えるかということをわかりやすく提示すること、というふうに考えてみたがどうであろうか。①と②は、誰もがインターネットなどの広告媒体でいろいろな形で模索しているが、まだまだ改善の余地はあると思う。③がわかりにくいが、要は誰もやっていないことを人に先駆けてやるということであろう。ある意味興味深い問題であるが、厳しい生存競争の時代になってきたものである。